Q.19 最近の子供は顎の骨の発達が悪いと言われていますが,積極的に硬いガムとかを噛ませた方が良いのか,具体的に教えて下さい。

 顎の骨がだんだん矮小化しているというのは,何世代にも渡っての事ですから,お子さんに硬い物を食べさせたとしても,北京原人のような大きな顎の骨になると言う事は絶対にありません。それでは硬い物を食べさせる事が無意味か,と言うとそうではなくて,歯槽骨(しそうこつ=歯が埋まっている部分の骨)と顎を動かす筋肉が良く発達します。歯槽骨が発達すれば歯槽膿漏になり難くなります。顎を動かす筋肉が発達すると顔面や頸部の血流が増え,脳を含む頭部の循環が良くなると言う説があります。具体的な方法ですが,今まで硬い物を食べていない子供に性急に行っても筋肉や顎の関節を痛める可能性があるので,まず良く噛ませる事が重要です。口の中に食べ物を入れたら,20回少なくても10回は良く噛んでから飲み込む様にさせて下さい。今のお子さんはあまり噛まずに飲み込んでいますから,これをさせるだけでも結構大変だと思います。まずはこの様になさって慣れてから,少しずつ硬い物を噛ませる様にして下さい。また,この時気をつけたいのは,食べる時の姿勢です。背筋を伸ばして,真っ直ぐ前を向いて,足を組まずにちゃんと床に足をつけて(椅子掛けの時),食べさせて下さい。テレビを見る為に右とか左を向いて食べたり,寝ながら食べるなどは以ての外です。顎の骨が発達する幼児期から高校生の頃まで,姿勢の良くない格好で食べていると顎の発育に左右差が出来て,変形症になる可能性があります。