Q.10 治した歯はどの位長持ちするんですか?

 詰めたり被せたりした物を,お店で買った物品として考えるとどの位長保ちするかは気になるところです。今ここに外車と国産車があったとしましょう。外車と国産車の購入コストが10倍あった時,外車を売っている人に,国産よりも10倍コストが掛かるので10倍長持ちするんですよね?と質問するでしょうか?無論長く保てば保つほど良いとは思いますが。大量生産され品質が一定の車でさえ,車検や定期整備があります。車の整備を怠ればトラブルが起きるのは充分考えられます。ましては,歯の詰め物や入れ歯は1人の患者さんの為だけの完全フルオーダーの詰め物や入れ歯です。ほんの少しの変化,例えば,口の中の粘膜がやせたり,噛み癖が変わったりしただけで,本来の機能を発揮する事は出来ません。その為にも,物を詰めたり入れ歯を入れた時点でどれだけの年数,保つかを気にするのではなく,定期的に歯科医院に通って,治療した歯や周りの口腔状態をチェックしてもらって,これからどれだけの寿命を保たせられるかを,治療した歯医者さんと一緒に考えてください。そうすれば、相当年数保と思われます。ただお任せで,自分は何も努力せず,歯医者さんだけに長持ちをさせる責任を負わせないでください。また詰め物や入れ歯を、失われた機能が回復された体の一部ととらえると話は違います。その治療により得られる回復度が大きければ、長い年数保たなくてもその治療が意味を持つ場合が有ります。たとえば抜歯の必要な歯であっても、それを抜くことによる不都合が予想される場合には短い期間しか保たないかもしれないと言うことを前提に,無理に残して被せたり詰める事もあり得るということです。つまり、ただ期間だけにとらわれず、医学的背景・機能回復の度合い・その機能回復の恩恵を受ける期間と言った正の部分と治療から受ける精神的肉体的負担・経済的負担と言った負の部分を秤に掛けて、歯医者さんと患者さんの合意の上で治療法が決まると思われます。

タイトルとURLをコピーしました