Q.1 習志野市歯科医師会の会員とは?
Q.2 フッ素の水道水への添加について歯科医師会はどの様に考えているのですか?
Q.3 歯は3度3度磨いているのですが,それでも虫歯になりますがどうしてですが?
Q.4 どの程度歯並びが悪いと矯正が必要なのですか?
Q.5 矯正をはじめる時期や期間は?
Q.6 前歯が抜けたあと,永久歯がなかなかはえてこないので気になっています。それぞれの永久歯はいつごろはえるのか教えてください。
Q.7 シーラントって何ですか?
Q.8 歯並びがきれいでいるために抜け変わる頃,どんなことに気をつけたらいいですか?
Q.9 先日,主人の保険証が書き換え中だったのですが,歯が痛かったので,主人の会社から保険資格の証明書をもらって,歯科医院に行きました。しかし,院長から「これで保険診療はできますが、とりあえず全額払ってもらって、後から組合から払い戻してもらってください。」と言われました。ちゃんと保険資格があるのに一部負担金で見てもらえないものなのでしょうか?
Q.10 治した歯はどの位長持ちするんですか?
Q.11 どうして保険証が変わっていないのに毎月保険証を提示しなければならないんですか?
Q.12 なぜ初診時だけの提示ではだめなんでしょうか?
Q.13 歯科医院に行くと,良くX線写真(レントゲン)を撮られますが,何時も心配です。大丈夫ですか?
Q.14 フッ素入りのうがい薬は,どの位効果があるのですか?
Q.15 歯が白くないのだが?
Q.16 乳歯と永久歯の区別はどの様にするのですか?
Q.17 電動歯ブラシはどうですか?
Q.18 子供が2人いますが,兄弟で同じ食生活,歯磨き,おやつで育てましたが,片方は虫歯になりやすく,片方はたいしてなりませんでしたが,この差は歯の質でしょうか?
Q.19 最近の子供は顎の骨の発達が悪いと言われていますが,積極的に硬いガムとかを噛ませた方が良いのか,具体的に教えて下さい。
Q.20 歯によいおやつにはどんな物がありますか?

Q.1 習志野市歯科医師会の会員とは?
A. 社団法人習志野市歯科医師会は、日本歯科医師会及び千葉県歯科医師会の賛助団体でありその会員は、地域医療への貢献、学術研究、学校医、技術向上をかかげ日夜研鑚しております。また昨今話題の、C型肝炎の感染などのようなトピックな出来事にもいち早く対応しており、万一の医療事故などにもそなえ、その予防対策や救済処置を含め市民の皆様に安心して歯科医療を受けられる環境を提供しています。会員の先生方のご協力により習志野市と協力しあい以下の事業を行っています。
  1. 一歳六ヶ月健診、三歳児健診
  2. 学校歯科健診
  3. 成人、妊婦への歯科相談
  4. 寝たきりの方への訪問歯科診療
  5. 地域の保険、福祉に関わる方々との連携
  6. 身障者、身障児の方の健診
Q.2 フッ素の水道水への添加について歯科医師会はどの様に考えているのですか?
A. フッ素自体の虫歯の抑制効果は科学的に証明されていますし,濃度さえ気をつければ,比較的低コストで,体に対する為害作用も少ない手段です。問題はそれを老若男女が長期間にわたって飲む水道水に入れるかどうか,だと思います。それを決めるのは歯科医師会ではなく,住民と行政の話し合いで決めるべきだと考えております。

Q.3 歯は3度3度磨いているのですが,それでも虫歯になりますがどうしてですが?
A. 歯を磨いていると言う事と,虫歯の原因となる磨き残しが全く無くなると言う事は全く違います。完全に磨き残し無く磨くというのは難しいものです。一回歯科医院に行かれてチェックを受けてみて下さい。歯科医師か歯科衛生士に歯の全ての面に染色液を塗って,患者さんに歯を磨いてもらいます。その結果を見ると,ほとんどの方には必ず磨き残しがあります。ここから虫歯になってきます。歯の大きさや歯の並び方は各個人によって様々なので,磨き残しをなくす為に,それぞれの患者さん合った歯の磨き方をしなければなりません。その為には歯科医師か歯科衛生士に口腔を診て,それぞれの患者さんに合った歯の磨き方のプログラムを組み立ててもらって,習って実践をして下さい。

Q.4 どの程度歯並びが悪いと矯正が必要なのですか?
A. 噛み合わせや歯並びが悪くなる原因には大きく分けて2つ有ります。つまり上顎 と下顎の成長のアンバランスがある場合と無い場合です。例えば,反対咬合(受け口)の場合を考えますと,1.上顎の骨の成長が下顎の骨の成長より遅い場合。2.下顎の骨の成長が上顎の骨の成長より早い場合。3.上下の顎の骨の成長は正常だが上の歯の出ている方向が標準よりも後方を向いている場合。4.上下の顎の骨の成長は正常だが下の歯の出ている方向が標準よりも前方を向いている場合。の4つが考えられます。矯正治療の難易度から考えると,1と2は3,4よりは難しく,時間も掛かります。3,4の場合は,成人になってからでも治療可能な症例が少なからずあると思われます。つまり,顎の成長がどうなっているが,矯正の必要性の基準の一つです。
 また,上下の顎の成長は正常でも,歯の大きさと顎の大きさのバランスが悪い場合は,歯を抜くことによって調節する治療法と顎の成長を人為的に早めて調節する治療法があります。この場合は,後者の治療が骨をいじるので,前者より難しく早めに矯正処置をはじめる必要があります。他方前者は後者に比べれば容易です。
つまり,骨の成長のアンバランスによる不正咬合や骨をいじる必要のある場合は,早めに適切な矯正治療が必要と考えられます。それ以外の原因から発生した不正咬合であっても,早めに矯正処置すれば,早期に直ったり,苦痛が少ないなど利点はあります。しかし,万が一矯正治療が遅れたとしても,きれいな噛み合わせにすることは充分可能です。
結論としては,少なくても顎の骨が関係した症例では矯正をする必要があると思います。顎の成長は見た目にもわかる場合もありますが,レントゲン写真を撮影したり,歯形の模型を取って,計測してからでないと分からない場合も有りますので,疑問に思った時点で,専門家の診察を受けることをお勧めいたします。

Q.5 矯正をはじめる時期や期間は?
A. 顎の骨が関係した症例では,小学校低学年からはじめた方が良いと思われます。骨が関係してなければ,中学生や高校生になってからでも可能です。治療期間は,骨が関係していなければ,2年間から3年間程度が標準です。骨が関係した症例では,骨の成長を制御する期間がそれに加わりますので,もう少し掛かります。顎の成長が終了するまで,治療期間が続くこともあります。

Q.6 前歯が抜けたあと,永久歯がなかなかはえてこないので気になっています。それぞれの永久歯はいつごろはえるのか教えてください。
A. はえはじめる時期には個人差がありますので,以下の表は目安と考えてください。
  歯の種類      男性         女性
               平均値  σ          平均値  σ
上   中切歯      7.03   0.08           7.00    0.07
    側切歯      8.05   0.08           8.00    0.08
     犬歯     10.10   1.01          10.02    0.11
  第一小臼歯     10.00   1.01           9.04    1.00
  第二小臼歯     11.01   1.04          10.07    1.03
  第一大臼歯      6.08   0.08           6.07    0.08
  第二大臼歯     13.03   1.00          12.09    1.04
  第三大臼歯    17.04   0.09          17.08    0.06

下   中切歯      6.03   0.07           6.01    0.06
    側切歯      7.03   0.08           7.00    0.09
     犬歯     10.02   0.11           9.03    0.09
  第一小臼歯     10.02   1.01           9.07    0.11
  第二小臼歯     11.04   1.03          10.09    1.04
  第一大臼歯      6.05   0.08           6.02    0.07
  第二大臼歯     12.05   1.02          11.08    1.01
  第三大臼歯    17.03   0.10          17.05    0.09

    凡例 7.03は7歳3ヶ月を表す。 σ=標準偏差


            
Q.7 シーラントって何ですか?
A. 正式にはフィッシャーシーラント(fissure sealant)とか小窩裂溝填塞(しょうかれっこうてんそく)と言い,虫歯が良く発生する部位の一つである歯の噛み合わせの面の溝(=小窩裂溝,fissuer )に詰め物をして(填塞して,sealant ),この部分を口腔内環境から隔絶し,虫歯の発生を予防したり,またこの部分のごく初期の虫歯の進行を抑制する治療法のことです。虫歯のない歯の場合で,予防の目的では保険がきかないので自費治療となります。しかし,ごく初期の虫歯になっている場合には,初期齲蝕小窩裂溝填塞処置(しょきうしょくしょうかれっこうてんそくしょち)が認められたので,保険で治療が出来ます(平成12年4月から)。原則的には歯は削らずに,歯の表面を酸処理して溝にプラスチックを詰めます。

Q.8 歯並びがきれいでいるために抜け変わる頃,どんなことに気をつけたらいいですか?
A. 本来乳歯は,下から永久歯がはえてきたら,何もしなくても自然に根が吸収して,はえかわるものなのです。つまり,異常でなければ,何もしなくても良いと思います。何が正常かというと,乳歯が抜けたとき,下から永久歯が見えたら正常だといえます。また,乳歯が虫歯で抜けたわけではない。永久歯が脇からはえていない。等の条件も必要です。また,下から永久歯が見えなくても,1ヶ月程度立つと見えてくるのが普通なので,すぐに見えなくても心配することは有りません。
抜けた時よりも,その前に乳歯を虫歯にしないことを第一に心がけてください。次に,可能なら抜けたとき乳歯の根がちゃんと吸収しているか確かめてください。変に偏って吸収しているときは,永久歯の位置が乳歯の真下に来ていない事もあります。次に永久歯が見えるかどうか確認してください。もし1ヶ月以上経っても後続永久歯が見えてこない場合や永久歯の位置が変なようなら,歯科医師に診断してもらってください。
また,周りの歯が虫歯にならないように,良く磨いてください。この時,よく質問されるのが,「永久歯が乱れて,はえてきたのだが心配だ」と言うのが良くあります。いったん歯はえると横へは成長しません。つまり大人の歯の幅を持って子供の顎にはえるわけです。ですから永久歯がはえるときはバラバラになったり乱れてはえてきます。そのうちに顎が成長して大人の大きさになった頃,ちゃんと並ぶのです。はえた時ちゃんと並んでいたら,大人になった時歯と歯の間に隙間が出来てしまいます。

Q.9 先日,主人の保険証が書き換え中だったのですが,歯が痛かったので,主人の会社から保険資格の証明書をもらって,歯科医院に行きました。しかし,院長から「これで保険診療はできますが、とりあえず全額払ってもらって、後から組合から払い戻してもらってください。」と言われました。ちゃんと保険資格があるのに一部負担金で見てもらえないものなのでしょうか?
A. 旧厚生省通知「被保険者資格証明書の提示があったときの取扱い(昭61.12.27 保険発113)」によると、1.療養取扱い機関等は被保険者資格証明書の提示があったときは、保険診療に準じた扱いを行うものとすること。(ただし、診療費用は全額被保険者が負担するものであること。)
2.一般的な療養費の場合と同様、患者の求めに応じて、療養取扱機関は、診療の内容、患者から支払を受けた金額を明らかにした書類を交付するものとすること。
となっていますので,これに準拠した事務手続きの事を説明したと思われます。感情的には,ちゃんと資格があるのにと思う気持ちは分かりますが,制度上は,この様になっています。

Q.10 治した歯はどの位長持ちするんですか?
A. 詰めたり被せたりした物を,お店で買った物品として考えるとどの位長保ちするかは気になるところです。今ここに外車と国産車があったとしましょう。外車と国産車の購入コストが10倍あった時,外車を売っている人に,国産よりも10倍コストが掛かるので10倍長持ちするんですよね?と質問するでしょうか?無論長く保てば保つほど良いとは思いますが。大量生産され品質が一定の車でさえ,車検や定期整備があります。車の整備を怠ればトラブルが起きるのは充分考えられます。ましては,歯の詰め物や入れ歯は1人の患者さんの為だけの完全フルオーダーの詰め物や入れ歯です。ほんの少しの変化,例えば,口の中の粘膜がやせたり,噛み癖が変わったりしただけで,本来の機能を発揮する事は出来ません。その為にも,物を詰めたり入れ歯を入れた時点でどれだけの年数,保つかを気にするのではなく,定期的に歯科医院に通って,治療した歯や周りの口腔状態をチェックしてもらって,これからどれだけの寿命を保たせられるかを,治療した歯医者さんと一緒に考えてください。そうすれば、相当年数保と思われます。ただお任せで,自分は何も努力せず,歯医者さんだけに長持ちをさせる責任を負わせないでください。
 また詰め物や入れ歯を、失われた機能が回復された体の一部ととらえると話は違います。その治療により得られる回復度が大きければ、長い年数保たなくてもその治療が意味を持つ場合が有ります。たとえば抜歯の必要な歯であっても、それを抜くことによる不都合が予想される場合には短い期間しか保たないかもしれないと言うことを前提に,無理に残して被せたり詰める事もあり得るということです。
 つまり、ただ期間だけにとらわれず、医学的背景・機能回復の度合い・その機能回復の恩恵を受ける期間と言った正の部分と治療から受ける精神的肉体的負担・経済的負担と言った負の部分を秤に掛けて、歯医者さんと患者さんの合意の上で治療法が決まると思われます。

Q.11 どうして保険証が変わっていないのに毎月保険証を提示しなければならないんですか?
A. 健康保険法では、保険診療を受ける際はその期間中ずっと保険証を医療機関に預けていなければなりません。しかし実際には保険証は一家に一枚しかなく一人の人の為に保険証を預けていると他の人が使用できません。そのため,厚生労働省では代わりの手続きとして月に一度は保険証を確認する様に各保険医療機関を指導しており、医療機関では月初めに保険証を確認するようにしております。定期券で改札口を通る時には,その都度提示しますよね。「定期券はいま家に置いてありまが,ちゃんと所有していますので,この改札口を通してください。」とはどなたも言わないと思います。それと同じに考えると御理解いただけると思います。

Q.12 なぜ初診時だけの提示ではだめなんでしょうか?
A. 多くの方は保険資格を持ち、また保険資格が変わりません。しかし中には転職などにより保険資格が変わる人も多くいます。また、会社や職場が変わっていなくても,ご本人や家族の方が気がつかない内に保険証の番号や記号が変わる事は間々あります。この様な場合,保険資格無しと言う事で,請求書が医療機関に戻されますので,治療費の全額を患者さんに請求しなければならいくなります。この様な事がないために,月一回の保険証の確認にご協力をお願い致します。また、転職等の理由により保険資格が変わりそうな場合は事前に歯医者さんにお申し出下さい。

Q.13 歯科医院に行くと,良くX線写真(レントゲン)を撮られますが,何時も心配です。大丈夫ですか?
A. これにお答えするには,患者さんにも少し勉強して戴かねばなりません
1.放射能と放射線について。
 この放射能と放射線は本来違う物ですが,混同されている方がいます。また何と,朝日新聞等の一流紙でもごっちゃに使われていることがあります。放射能というのは物質の性質を表す言葉の1つで,放射線を出す物質又はその性質や能力のことを言います。放射線とは実際にエネルギーを持って空間を飛び交っている粒子(電磁波も含む)を指します。
 ですから,X線は放射線であって放射能でないので,照射された時だけ,患者さんが被曝するわけです。最近のニュースで,どこかの施設で誰かが放射能物質(新聞では放射性物質と記述されていましたが)を部屋にばらまいたと伝えていましたが,これは,その物質があれば放射線を出し続けるので,出している間は,被曝する危険があります。(放射能物質は半減期と呼ばれる期間毎に,放出する放射線の量が半分になっていきますので,永遠に未来永劫放射線を出し続けるわけではありません。)
 まず,この違いを理解して下さい。歯科医院で使用されるX線はX線発生装置と呼ばれる装置に電源をいれ,照射ボタンと呼ばれるスイッチをオンして,回路に電気が流れて始めてX線が発生します。放射能を持った物質を利用している訳ではありませんので電源さえ入らなければ全く安全な物です。よく出る質問に「X線が出てから,どれくらいたってから(又は何秒後に)X線室に入れば安全ですか?」と言うのがありますが,X線が照射され,発生が終われば直ちにX線は消滅するので安全です。X線は光と同じ電磁波(専門的には光子(こうし)と言う粒子の流れ(粒子線)でもあります。詳しくは物理学の本を読んで下さい。)なので,可視光線に変えて考えると分かりやすいと思います。夜,ついている電球(蛍光灯でも良いですが)のスイッチを切れば,光は消えてすぐに闇になるのと同じ原理で,X線が照射されている間だけしか放射線であるX線は存在しないのです。X線は直ちに物質に吸収されてしまいます。
2.自然被曝について。
 人間が放射線を被曝するのは,何もお医者さんや歯医者さんの所だけではありません。色々ありますが,その内人類が進化の過程で,この世に発生する以前から地球環境にあるのが自然放射線と言われる物です。これは@宇宙から地表に降り注ぐ放射線で宇宙線と呼ばれる物,A岩石や土壌等の天然の放射能物質らか出る放射線,B空気や食物に含まれる放射能物質を呼吸したり摂食したりして体内に取り込まれた放射能物質から出る放射線の3つの放射線があります。
 これに人間の活動によって作り出された放射線が加わります。この人工的放射線には事故によるものもありますが,老廃物として環境に放出される物もあります。
 人工的放射線を除いて自然放射線のみを考えると,これは人類が進化の過程で発生する前からありました。そこである一部の学者は,生物は自然放射線のある環境で進化を遂げてきたので,当然放射線があることが前提で進化したはずである。故に自然放射線程度の放射線の量では害は無いはずだし,ほんのわずかな放射線は生物を活性化させる刺激になる。と言う説を唱えています。但しこの説は未だに定説とはなっていませんが。但し,放射線や電気等の物理的刺激又は化学的刺激等によるDNAへの損傷を修繕するためにDNAの修復機構があるというのは定説になっています。つまり活性化するかどうか別にして少なくとも生物の体は,放射線があることが前提に形作られているわけです。
 すると,次に気になるのが自然放射線の量とX線写真を撮影したときの放射線の量が気になります。
 通常の自然放射線の量は,年間2mSv(ミリシーベルト)程度と言われています。(場所により若干変動します。単位と撮影時の被曝量については後述します。)
 ここでは,自然放射線による被曝を自然被曝と呼び,@人間が制御困難である,A比較的一定レベルの量である,B世界の全人口が被曝している,C 全身に被曝している。D山に登ったり,航空機に乗り上空に行くと量が増える。と言う特徴があることを覚えておいて下さい。
 簡単に言うと,自然放射線+(人工放射線−医療放射線)=公衆が一般的な生活でさらされる放射線(これによる被曝を公衆被曝と言う)と言うことになります。(職業的な被曝のことは除く)
3.人間と化学物質の量と濃度
 話を変えて,酸素と水について述べます。ともに人間が生きて行くには不可欠な物です。酸素が無くては人間は窒息してしまいますが,100%の酸素を吸い続けると酸素中毒を起こします。又水もコップ一杯の水を飲んでも何も起きませんが,何リットルも強制的に胃に送ると胃を壊したり体に悪影響を及ぼします。このように人間に不可欠な物であっても,その濃度や量を間違えると毒となってしまいます。酸素は酸素中毒を起こす物だから吸うのをやめましょうとか水は何リットルも飲むと毒だから飲むのをやめましょうとは言わないと思います。水も酸素も量と濃度を間違えなければ絶対に人間の生存に必要な物なので,飲んだり吸うのをやめないわけです。
 放射線も大量に被曝すると,癌になったり,死んだりします。放射線は,水や酸素と違い,絶対に必要な物では無いと思いますが,大量に摂取した時の事を考えて,量が少ない場合も同じように考えて恐がるのは間違えだと思います。
4.放射線の害について。
 具体的に人体に対する障害について述べます。時間的に考えると,@放射線を浴びてから比較的短期間(数週間程度以内)に現れる障害,A放射線を浴びてから比較的長期間(数年以上)たってから現れる障害,B放射線を浴びた個人ではなく,次の世代に現れる障害の3つに分けられています。
 @の急性障害について考えると,具体的には皮膚が赤くなったり,潰瘍が出来たり,脱毛等があり,極端な場合が放射線死と言うものがあります。この場合は,ほとんどその発生するのに最低の放射線量と言う量があります。(専門的には,非確率的障害と言います。)つまりその最低量以下であれば,その障害が全く現れません。医療放射線の内,診断目的のX線検査に使用する線量は急性症状が現れる線量と比べると3桁から4桁くらい小さい値なので急性症状については全く考えなくて良いと思います。ですから患者さんが歯科のX線検査を受けたからと言って,この急性症状が発症することはまずあり得ません。又次の質問として「1回の線量が急性症状の出る千分の1だとすると,千回目に障害は出るのですか?」と言う疑問がわいてくるかと思いますが,短期的(1日とか数日間)に千枚X線写真を撮影することはまず無いと思います。必ず何年かにわたって撮影すると思います。すると1回放射線を浴びてから次に浴びるまでの間に,生体の回復能力により放射線の影響をやわらげる作用が働き,単純に影響が加算されたり,蓄積される訳ではありません。これは3.でお話しした水の問題で考えればよく理解できると思います。水を一度に100リットル飲むと障害が出るとして,1リットルを毎回飲むと仮定しても100回目に障害が出るとはお考えにならないと思いますが,それと同じです。
 AとBは,それぞれ晩発障害,遺伝的障害と言われるものです。これらの特徴は,放射線を浴びなくても発生すると言うことです。つまり障害が発生した場合,その原因が放射線によるものなのか,化学物質によるものなのか,自然に発生したものなのかが,なかなか区別できないものなのです。具体的に障害の内容を言うと,悪性腫瘍(俗に言う癌)の発生が主なものです。ですから,@の場合のような発生するための最低線量(専門的には,しきい線量と言います。)が存在しません。(線量0でも,障害は発生しますから。)それでは,どうして放射線障害として発癌作用が分かったかというと,統計処理によって分かってきました。つまり,放射線を浴なかった群と浴びた群の癌の発生率の違いや線量の多い少ないと発生率の差などを統計的処理して比較検討し,分かって来ました。つまり,放射線は集団の癌の発生率に正の影響を与えますが,個々の個人に対しては何もいえません。どう言うことかというと,例えば不幸にしてある患者さんが歯科医院でX線検査を受けてから10年後に(放射線の影響だとすると,最低10年以上たってからと言われています。)癌になったと仮定します。 このとき10年前に受けたX線検査の影響だけで癌になったと断定は出来ません。無論可能性はありますが,それよりも遺伝とか食生活などの生活習慣の要素の方が強くて放射線のせいだけとは言えません。但し医者歯医者の立場で言えば,放射線による癌の発生率がOでないので(集団に対して)少しでも枚数を減らしたり,線量の少ない検査法を選択したりして,常にこのことを考慮してX線検査を行っています。
 個々の発癌に対してはいえませんが,集団として被曝する線量を低減することは,集団として発癌の度合いを低減することになるので,重要な事です。
5.放射線の単位について。
 やっと放射線の単位についてお話出来ます。放射線の単位には,色々なものがありますが,主のものは3つで,@その空間での放射線の強さ,Aエネルギーとして対象の物体(生体も含む)にどれだけ吸収されたか,B吸収された線量が同じでも放射線の種類により生物に対する効果は違うのでそれを補正した吸収線量,の3つがあります。それぞれ@照射線量A吸収線量B線量当量(実効線量とも言う)と言います。新聞雑誌などに,どのくらいの線量ですか?と聞いて色々答が出ていますが,この違いをごっちゃにしている場合がよくあります。又照射されている皮膚面での照射線量と吸収線量の違いが理解されていない回答もよく見られます。それと照射された体積を考えないで議論されている場合もあります。歯のX線検査で照射される体積と胸部それとでは,何倍も体積が違います。又その照射された体積の中に放射線に弱い臓器が有るか無いかも重要です。
 定義その他詳しいことは資料をお読み下さい。単位についてのみ書きますと@旧単位でR(レントゲン),新単位ではC/Kg(クーロンパーキログラム),A旧単位でrad(ラド),新単位でGy(グレイ),B旧単位でrem(レム),新単位でSv(シーベルト)と言います。
6.まとめ
 結論を言いますと,歯科医院で受けるX線検査の影響は微々たるものでご心配は全くないと申し上げて良いと思います。
 歯科医院でよく使用するX線検査は,頭部の周りをX装置が回転するパノラマ撮影とフィルムを口の中に入れて撮影するデンタル撮影と言うものだと思います。その内,線量の多いパノラマ撮影での被曝線量は,線量等量は43.6μSv程度と考えられます。これは2.でお話しした自然放射線によるものと単純に比較して1/50程度であること(自然放射線の量とパノラマ撮影の線量に幅があるためぴしっと何分の1とはいえません。)。又自然放射線が全身に浴びるが,パノラマ撮影が頭部の約下半分しか浴びないので体積比から言うとその1/10以下の影響しか与えない。などを考えると4.で述べた急性障害は全く発生しないと考えられます。又晩発障害についてですが,10年後に癌になるリスクよりは今X線写真を得なかったことによる不利益の方が大きいと考えられますので,ご心配になることはないと思います。
 患者さんのX線写真を撮影することによる危険度(リスク)と医学的利益を常に考えて,医師や歯科医師は撮影を決定しているので,又責任を負っているので,心配は無いと考えられます。
 どっちにしろ,放射線は目には見えませんし,触ることもできません。長さとか重さなどの五感で感じるものでないだけに,どうしても観念的な捉え方になって実感がわかないと思います。ですからよけい恐怖感が先に立つと思いますが,見えないからこそ,よけいに正しい知識を持ってよけいな心配はしない,不用意に安心しきらないで,正しく放射線に接して戴きたいと思っております。
 放射線は,便利なものであるかわりに,危険な面もあります。その理解にはほんの少しの知識も必要です。そのうえにたって恐がるなら分かりますが,見えないから,感じることが出来ないから恐いというのは,お化けを恐がるようなものだと思います。正しい知識を持ってから評価をして戴きたいと願っております。

Q.14 フッ素入りのうがい薬は,どの位効果があるのですか?
A. 虫歯(齲蝕)の要素は1)歯質2)糖質3)細菌4)時間が考えられます。単純に考えて虫歯の要素の内の4分の1を強化する事にはなると思います。但しうがいだけでどれだけのフッ素が歯質に添加され,どれだけ強化されるかは余り分かっていません。多く見積もっても歯質が2倍も3倍も強化される事は無い様です。フッ素が入っていないより入っている方が良いかなと言った程度だと思われます。また,虫歯の4つの要素は加算的な関わり合いでなく,掛け算的な関わり合いなので,フッ素でうがいをしているからと言って,まったく歯を磨かなくて良いと言う事にはなりません。現にうがいより効果があると言われているフッ素塗布をしたと言って,安心して歯磨きがルーズになって虫歯がかえって増えた例は良くあります。今まで通りの注意をした上で,フッ素入りのうがい薬を使えば,それなりに効果はあると思いますが,うがい薬にだけ頼るのは虫歯を増やす原因になります。

Q.15 歯が白くないのだが?
A. 歯は本来白からやや黄色みを帯びた色で,普通歯の先端がやや白く根本に行くに従って黄色みを増していきます。また,前歯よりも奥歯の方が黄色みを増している事が普通です。この本来の色以外の色を呈する理由は2つの場合があります。1)歯質自身が着色している場合で,原因は遺伝,歯の形成時期の栄養状態(カロリー不足よりも栄養素のバランスに問題がある場合が多い),薬物の投与や外傷,萌出後の虫歯,また歯の神経を取ってから時間が経った場合などが上げられます。2)歯の表面に着色沈着物が付いている場合で原因は食品添加物の色素,たばこ,茶渋などと歯磨きの不備が上げられます。1)に対しては歯質の漂白や詰め物被せ物をする。2)に対しては沈着物を物理的に除去する方法があります。原因により処置も変わりますので,一概に言えません。歯の色に疑問を持った時は早めに歯科医院にご相談下さい。

Q.16 乳歯と永久歯の区別はどの様にするのですか?
A. 乳歯と永久歯とでは,一般的に言って1)色調2)形3)大きさ4)本数が違います。1)乳歯の方が白っぽい色調の事が多い。2)乳歯の方が噛み合わせの山と谷の高低差が少ない。乳歯の奥歯では角に丸みがある。3)乳歯の方が小さい事が多い。(乳歯の5番目の歯は,永久歯の5番目の歯より横幅が大きい事が普通です。)4)普通,乳歯は左右上下で20本,永久歯は親不知を入れないで28本あります。但し,専門家がみても判断に迷う事もあります。

Q.17 電動歯ブラシはどうですか?
A. 歯や歯肉に正しく当てないと,かえって歯や歯肉を傷つける場合がありますので,取り扱い説明書は必ず読んで下さい。特に起こしやすい間違えは,電動歯ブラシのスイッチを入れて,毛先を動かしながら,普通の歯ブラシの様に柄を動かす方がいますので,気をつけて下さい。電動歯ブラシは,毛先が動くので,毛先を歯に当てたら柄は動かさずにその位置を保持して下さい。毛先の動きには,回転,上下動,左右動など色々とあります。出来たら,購入する前に,歯科医師や歯科衛生士に相談して,患者さん個々の状況(歯列の彎曲程度,歯の大きさ,歯の配列の乱れ,歯の欠損の状況)に応じたアドバイスを受けて下さい。もし購入された後でも,電動歯ブラシの使い方の指導やアドバイスは受けられますので,買い求めた電動歯ブラシをお持ちになって,歯科医院にご相談下さい。

Q.18 子供が2人いますが,兄弟で同じ食生活,歯磨き,おやつで育てましたが,片方は虫歯になりやすく,片方はたいしてなりませんでしたが,この差は歯の質でしょうか?
A. 主に歯質の問題と環境的要素により差が生じたものと考えられます。 1.虫歯の要素としては1)歯質 2)糖質 3)細菌 4)時間が考えられます。ですから歯質は4分の1の要素を持っています。故に虫歯の発生に差が出て来る事は充分考えられます。同じ食事をしている兄弟でも顔が違い,背の高さが違い,気質も違うわけですから,歯質の虫歯に対する強さに差が出ても不思議な事ではありません。ちなみに,歯質は遺伝と歯胚(しはい=歯を作る器官)で歯を作っている時期の栄養状態によって決まると言われています。
2.兄弟でも好き嫌いや性格には差があるわけですから,親御さんが同じ様に育てたと言っても,食べる物や食べる量,歯磨きの効果などに差が出て来るわけです。また親御さんの見ていない所での行動(学校帰りの買い食い等)は当然違うわけですから虫歯の発生に差が出て来る場合があります。

Q.19 最近の子供は顎の骨の発達が悪いと言われていますが,積極的に硬いガムとかを噛ませた方が良いのか,具体的に教えて下さい。
A. 顎の骨がだんだん矮小化しているというのは,何世代にも渡っての事ですから,お子さんに硬い物を食べさせたとしても,北京原人のような大きな顎の骨になると言う事は絶対にありません。それでは硬い物を食べさせる事が無意味か,と言うとそうではなくて,歯槽骨(しそうこつ=歯が埋まっている部分の骨)と顎を動かす筋肉が良く発達します。歯槽骨が発達すれば歯槽膿漏になり難くなります。顎を動かす筋肉が発達すると顔面や頸部の血流が増え,脳を含む頭部の循環が良くなると言う説があります。
 具体的な方法ですが,今まで硬い物を食べていない子供に性急に行っても筋肉や顎の関節を痛める可能性があるので,まず良く噛ませる事が重要です。口の中に食べ物を入れたら,20回少なくても10回は良く噛んでから飲み込む様にさせて下さい。今のお子さんはあまり噛まずに飲み込んでいますから,これをさせるだけでも結構大変だと思います。まずはこの様になさって慣れてから,少しずつ硬い物を噛ませる様にして下さい。
 また,この時気をつけたいのは,食べる時の姿勢です。背筋を伸ばして,真っ直ぐ前を向いて,足を組まずにちゃんと床に足をつけて(椅子掛けの時),食べさせて下さい。テレビを見る為に右とか左を向いて食べたり,寝ながら食べるなどは以ての外です。顎の骨が発達する幼児期から高校生の頃まで,姿勢の良くない格好で食べていると顎の発育に左右差が出来て,変形症になる可能性があります。

Q.20 歯によいおやつにはどんな物がありますか?
A. 第一に栄養のバランス,第二に決めた時間に,第三に食べた後の歯磨きが重要で,歯だけに良いおやつというのは無いと思います。おやつとは本来,子供の胃が小さい為に一度に必要なカロリーと栄養素が摂取出来ない為に,それを補う為にあるわけです。ですから,おやつと言うとお菓子とかケーキなどのデザート類を与えれば良いと思う方がいますが,その様には絶対に考えないで下さい。第四の食事と考えて,糖類,タンパク質,脂質のバランスを考えて与えて下さい。決して子供の嗜好に流されて同一傾向の食品を与え続けたり,静かにさせる為に,だらだらと長時間与えないで下さい。
 色々な食物を食べる事によって自然に歯が丈夫になっていく訳です。おやつの与え方が悪いと歯を悪くする事はありますが,おやつを正しく与えたからと言ってそれだけで歯が強くなる事はありません。なぜならおやつが朝食昼食夕食の一部だからです。献立と同じ様に考えて下さい。

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習志野市歯科医師会の会員の医院にて承ります。
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